2013年12月9日月曜日

気迫を以て相手に迫り、相手の気を引き出し、それと同化する。

この言葉は、多田宏先生が、講習会などで常に引用される植芝盛平開祖の言葉です。また、「合気道は先の先で、後の先ではない。」同じように引用され、技の説明をされます。 具体的には、「手は持たれるのではなく、持たせるもの。」、「面を打たせるのではなく、打つもの。」 を意味します。 これが、なかなか難しいです。特に、5~6人で行う掛かり稽古で、この先の先の状態を維持するのはそう簡単なことではありません。多田先生は、「そのためには、稽古の場を自分が主宰することを心がけるように。」と。

2013年12月1日日曜日

第53回全国学生合気道連盟演武会 修正削除 移動

11月30日、日本武道館で第53回全国学生合気道連盟の演武会に出席してきました。参加校約100校。私が第3代委員長の時(50年前)は、僅か20数校。正に隔世の感がありました。終了後の打ち上げ懇親会では、道主、本部道場長代行をはじめ、合気会理事その他の来賓方々と一緒に学生達と楽しいひと時を過ごしました。ただ、かなりの学校で部員獲得に苦労しているようでした。

2013年6月9日日曜日

多田先生の講習会(多田塾奥州道場)

6月8,9日、第8回奥州道場「多田先生特別講習会」に参加してきました。
神戸、東京、横浜その他の各地から門下生が集まり、奥州道場の皆さんと総勢60数名。充実した講習会でした。
相変わらず多田先生は、エネルギッシュで、迫力ある講習会でした。
先生の講習会でのお話は、いつも心に残りますが、今回は、
「対象と対立せず自分の中に取り込んでしまえば、争いは起こらない。」
「武道は生き方を学ぶもので。技術を学ぶのではない。」
が特に印象的でした。

2012年12月22日土曜日

木刀の素振り三千回

早大合気道会時代、ある合宿で、多田先生の「今日は振るぞ!」の号令で、木刀の素振りが始まった。それまでは、素振りは精々20分から30分。回数にしておよそ1000回程度でした。私は、2倍の40分ぐらいかなと勝手に思っていました。ところが、40分経過しても「止め」の声がかからない。あの時ほど、目の前の時計の針の進み方が遅いと思ったことはありませんでした。1時間を少し過ぎたころから、時計の針を気にしないことにしました。そうすると、力も抜け、ただ、ひたすら振り続けられるようになり、疲れも感じなくなってきました。無駄な力が抜け、正しい素振りができれば疲れない。多田先生は我々にそのことを気づかせるために2時間も素振りをさせたのではないか、とは後から感じたことでした。振った回数はおそらく3000回を超えていたでしょう。
 木刀の握り方、構え方、目付などがきちんとしていれば、自ずから木刀は正しく振れる。若い時代にこういった稽古ができたのは何にもまして得がたい経験でした。

2012年9月9日日曜日

私の見た開祖の神業 修正削除 移動

植芝盛平生誕百年 合気道開祖」(植芝吉祥丸編著、昭和58年講談社刊)の27頁に次のような記述がある。
「指一本で相手を動けなくする」(開祖道言抄)
「(略)すなわち、相手をその者の力の及ばぬ円外において抑えるならば、相手はすでに無力ゆえ、人差し指であろうと小指であろうと、指一本をもってこれを抑えられることになるわけじゃ。(略)」
小生は、この文章を読んで、50年近く前の本部道場での出来事を思い出した。
当時の合気道会の役員の任期は3年生の秋から4年生の秋まであった。ただ、私たちの一級上の上級生は二人しかおらず、必然的に2年生の私にもマネージャーの役目がまわってきた。稽古の指導も担当させられていたため、本部道場に通い、そこで習った技をそのままその日の稽古するということを繰り返していた。下級生を指導するというより、自分の稽古で精一杯であった。
本部道場の稽古では、2010年に逝去された菅野誠一8段(在ニューヨーク。当時、たしか4段で指導員であった)によく稽古をつけていただいた。菅野さんの稽古は、激しくはなかったがやはりプロである。厳しく、すぐ息があがる。夢中で30分も稽古したかと思い、時計を見ると未だ10分も経っていない。1時間の稽古が長く感じることはしょっちゅうで、やはり内弟子は強いなぁといつも思わされていた。
そんなある日、菅野さんとの稽古が終わった後だったか、翁先生が、見学者に技を披露されるためか道場に入ってこられた。先生は、菅野さんのそばにつかつかと寄ってこられて、左の小指で菅野さんの右手首をピタッと抑えられた。そして、菅野さんに離れるように仰った。ところがである。なんと、菅野さんはもがくけれども、手首は翁先生の小指から離れない。まさに、上記の翁先生の仰っていることが、私の目の前で起きたのであった。押されても押されないことは、なんとなく理解できるが、離れないのはどうしても理解できない。まるで、翁先生小指と菅野さんの手首がボルトで結合されたかのようであった。
翁先生の演武は、日比谷公会堂での全日本演武大会、全国学生合気道連盟演武大会や本部道場で何度も見る機会があった。見る度、翁先生の技に魅了されたのは言うまでもないが、指一本で相手を抑える技は、小生の目の前で行われただけに、今でも強烈に目に焼き付いている。